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『岡山にて…』


先月から今月頭まで、二週間程「晴れの国・岡山」に滞在して来ました。

旅行に行っていた訳でも、鬼退治に行っていた訳でもありません(笑)。

OPLL(頚椎後縦靭帯骨化症)と云う、国の特定疾患に指定されている原因不明の難病の治療で、およそ12時間にも及ぶ手術を受け、無事に退院して現在絶賛リハビリ中の小森です。

6~7年前から頸椎症性神経根性による神経圧迫症状で、腕の痛みや痺れはあったのですが(因みに人間部活動に入った理由はコレとは別で「変形性指関節症」といって、こちらも原因不明でやっかいなヤツ…)、昨年8月のKENSOライブが始まった途端、それまでにない痛みと痺れが左肩甲骨から指先まで現れ、左手のコントロールが上手く出来なくなり、最後まであの難曲の数々を叩けるのかとても不安になりましたが、何とか自分との闘いに負けず、アンコールでは渾身のドラム・ソロまで気合いで叩き切りました。

が、その後も痛みと痺れが緩和されなかったので、病院で検査を受けたところ「OPLL」が見つかり、この病気の進行による症状の悪化が見受けられました。

幸いな事に、人間部活動中に培った医療関係の方々とのご縁に恵まれていたおかげで、発覚直後から都内の幾つかの有名な病院を受診させて頂きながら、投薬や何種類かのブロック等を試したりしていたのですが、今年の6月位からは痛みで寝れないばかりか、日中も酷い痛みと痺れが頻繁に出る様になり、ついには9月のトライ・オフェンシヴや10月の米川セッション では痛みの余り片手で叩く瞬間が何度もあり、もはやドラムどころではなくなってしまい、オぺに踏み切るしかないと判断したのです。

ただ、そこで悩んだのがオペの方法の選択でした。

通常は背中側から15cm~20cm切開して、頚椎の圧迫を解消するアプローチ、または首の前側から切開して金属や自分の骨の一部を使って固定するアプローチの2種が行われており、今の日本ではこれが一般的です。

ただ僕の場合、治療のゴールが術後に一般的な生活を送れるレベルでは無く、あくまでドラマーとして完全復帰する!と云うところに妥協を許さない確固たる目標があったので、長い目で見た時の痛みや痺れの緩和は勿論、腕のしなやかな動き、パワー、そしてドラムで一番大切な指先までの細やかなコントロールなくしてプロとしての復帰はあり得ないと云う事もあり、日本では今のところ岡山の済生会でしか行われていない

「鍵穴手術」

と云う特殊なオペを選択させて貰い、担当の中島先生、伊勢田先生に自分のドラマー人生を預けてみる事にしました。

今回僕のケースでは、首の前方のスジに沿って7cm程切開して、そこからドリルで頚椎の3箇所に3mm程の穴を開け、神経根性で明らかな圧迫のあった頚椎6、7番の骨棘を取り去り、その後、頚椎4番から7番の後縦靭帯の骨化している部分をドリルで丁寧に削り取ると云う、一歩間違えれば命の危機とも隣り合わせな、かなりのリスクと技術を要する、血管のプロ・脳神経外科医ならではのとてもデリケートな大手術でした。

お陰様でオペの方は大成功で、術後直ぐに左肩甲骨から指先に出ていた痛みや痺れが嘘の様に無くなり、今回切除した4番から7番の後縦靭帯の骨化に関しては「完治」のお墨付きまで頂きました。

麻酔から醒めて先生からこの旨お聞きした時には、「まだドラムを叩いていていい人生なんだなぁ」と思い、なかなか込み上げるものがありました。まぁ歳ですね(笑)。

今はまだ切開した首の傷の痛みや、術後恐らく一過性のものとして現れているであろう右手側に出てきた痛みや痺れがあるのですが、それは今後落ち着いて行くと思われますし、せっかく人生賭けて受けさせて頂いた大手術なので、先生のアドバイスをおとなしくきっちり守り、いい状態で復帰出来る様にしたいと思っています。

OPLLと云う難病、実は世界の中で日本人に一番多く約3%の方が発症し、その中で進行するのはほんの一部なのですが、隠れOPLLの方は意外に多いらしいのです。

進行してしまうと日常生活が困難になり要介護になったりしますが、今回僕が受けさせて戴いた「鍵穴手術」と云うオペの方法は、勿論患者さんの病状の進行状況などによっても異なりますし、リスクもゼロではないとは思うのですが、身体への負担は少なく従来の手術では達成出来なかった「完治」が見込める可能性が非常に高いアプローチなので、もしコレを読んで下さっている方の周りに、同じ病気で悩んでいる方がいらっしゃったりしたら、今の日本にはこう云うオペの選択肢もあるんだと云う事を是非教えてあげて頂きたいと思い、今回あえてこの様な私事を書かせて戴いた次第です。

何はともあれ 健康あってこその人生。

僕の命、そしてドラマー人生における恩人、中島先生と伊勢田先生に改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとうございました‼︎

さて、岡山ですが…

これまでコンサート・ツアーやライヴでは何度も訪れていましたが、毎日病室から眺めていた「晴れの国」ならではの高く澄んだ空、そして岡山の人たちの穏やかな人柄と触れ合う中で、色々と学ぶ事も多く、とても充実した贅沢な時間を過ごさせて頂いた様に思え、すっかり気に入ってしまいました。

入院食以外は…笑

因みに仕事への復帰は早ければ3月以降になると思います。復活したら魂の鼓動をいっぱい叩きまくろう♪

来春の到来が待ち遠しい2015年の年の瀬です。

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